4種類のうどん粉で中華麺作り〜色の違いについて比較してみました(FR-5.2)
輸入小麦(讃岐すずらん、金すずらん)と国産小麦(あやひかり、上州地粉)を中華麺にして麺の色と灰分の量との関連について観察してみました。これらの小麦粉は、うどん用の小麦粉でタンパク質が8.5g〜9.0g(100g)の中力粉です。灰分は、0.34%〜0.50%です。
中華麺作りは、パスタマシーンを使って作業しました。また、かん水の代わりに重曹を使いましたので、正確には中華麺風になると思います。
1. 中華麺作り
小麦粉は中力粉で、かん水の代わりに重曹を使って冷やし中華麺を作りました。
分量は、
小麦粉(中力粉) 250g
食塩 2.5g
重曹(かん水の代用)2.5g
水 110mL
です。
下の写真は、讃岐うどんで用いられている讃岐すずらんです。
下の写真左は、小麦粉に食塩・重曹水を加え水回しをした直後でボソボソした感じですが、ビニール袋に入れて数回足踏みをし1時間程寝かせると、生地は下の写真右の様に水が小麦粉全体に行き渡りしっとりとします。
生地をビニール袋に入れ足踏みし、2時間ほど寝かせます。その後、パスタマシーンで生地を伸ばしてカットします。
パスタマシーンは「SEISSO」のものを使いました(下の写真)。ローラー周隔は9段階で1が最大幅になっています。刃は、2mm/4mmの2種類の刃が付いています。
今回は、幅を’5’にして2mmの刃で中華麺を作りました。
2日間冷蔵庫で寝かし熟成させました。茹で時間は、麺を入れて沸騰してから1分間で調理しました。
冷やし中華のつゆは、
酢 67mL
醤油 大さじ2
水 45mL
ごま油 大さじ2
砂糖 大さじ1
合わせて煮たたせた後、冷水で冷やせば出来上がりです。時間があれば、一晩冷蔵庫で馴染ませます。甘さは、砂糖で調整してください。
2. 外国産小麦
讃岐すずらん(木下製粉)
特徴:讃岐手打ちうどん専用粉で、小麦色の光沢があり、淡いクリーム色をしてつるみ感、のど越しの良さ、さぬきうどん本来のコシのあるうどんができる。
原材料:小麦(オーストラリア)タンパク質:9.0g 灰分 : 0.34% 参照
下の写真は、讃岐すずらんを使った中華麺の作りたて(左)と2日後の(右)状態です。写真の右下の黒、青、緑、赤、白の四角は、写真を撮る時一緒に並べて置いたものです。
小麦粉は。重曹水溶液のアルカリ性によって、小麦粉に含まれるフラボノイド色素に反応して黄色くなることが知られています。
作りたてに比べ、2日後は灰色成分が加わり黄色味が少し濃くなっていました。伸している時は、弾力性と粘りを強く感じました。
中華麺にすると、ツルッとして、もっちりとしている食感の良い麺でした。
金ずずらん(日清製粉)
特徴:弾力感と粘りのバランスがとれたうどん用小麦粉。冴えのある黄色味が特長。
生(原)産地:オーストラリア等 蛋白 8.8% 灰分 0.37% 参照
下の写真は、金すずらんを使った中華麺の作りたて(左)と2日後の(右)状態です。
水分量を少し少なめで作りました。作りたてに比べ、2日後は灰色成分が加わり黄色味が少し濃くなっていました。伸している時は、弾力性は讃岐すずらんと同じくらいでした。
冷やし中華にすると、ツルッとしてもっちりとしているが硬さを感じました。これは、水分量を少なめで作ったためかもしれません。
3. 国産小麦
あやひかり(前田食品・茜・埼玉県産)
特徴:麺にするともちもちして滑らかな食感になる特性を持った、低アミロース小麦。冴えたクリーム色、もちもっちとした食感、つるッとした喉ごしが特徴。
生産地:埼玉県 粗蛋白 8.1% 灰分 0.36% 参照
下の写真は、あやひかりを使った中華麺の作りたて(左)と2日後の(右)状態です。
タンパク質量が少ないためか伸している時やわらかく粘つく感じでした。弾力性が少し弱い感じで、もちのように伸びるがくっつきやすかったです。麺の色は、白っぽく2日目は少しが灰色が強くなりましたが、色の変化は少ない様に感じました。
冷やし中華にした時は、短く切れてしまいました。ツルッとしているますが、弾力・腰はない感じでした。また、つゆを麺が吸ってしまいました。
パスタマシーンで切るとき麺がくっついてしまい(下の写真)、手作業で1本ずつにしました。水分量少なくしたほうが良い?など条件設定を検討する必要がありそうです。
上州地粉(丸手)(星野物産・群馬県産)
特徴:群馬県産小麦だけを使用し、小麦の中心部から外皮に近い部分まで広範囲に挽いたストレート粉。地粉特有の濃い風味と色合い、適度な粘りともちもち感が特徴。色調に優れた「さとのそら」をはじめ、粘弾性の高い「つるぴかり」や「きぬの波」をベースに使用した群馬県産小麦100%の小麦粉。
生産地:群馬県 蛋白:9.0% 灰分:0.50% 参照
下の写真は、上州地粉を使った中華麺の作りたて(左)と2日後の(右)状態です
伸している時、弾力性は讃岐すずらんより少し弱い感じがしました。生地が少し柔らかく感じました。
麺の色は、黄色が濃い感じで2日後の麺は、灰色がかっていました。灰分が他の小麦粉より多いのが原因かもしれません。
こちらも、パスタマシーンで切るとき麺がくっついてしまいました。
冷やし中華にした時は、日本そばの様な色でツルッと感はあまりありませんでした。弾力・腰はほとんどなくボソボソ感がありました。日本そばの様な食感でした。
中華麺を作る際に小麦粉の吸水量の増減は、小麦粉中のタンパク質(グルテン)の量の増減と同じ傾向になるそうで、小麦粉のたんぱく質は、ざっと自分の2倍の水を保持できるそうです(参照)。
あやひかりが伸している時、粘つくのはタンパク質量が少ないためかもしれません。
中華麺を中力粉で作る場合、外国産小麦の方が失敗は少ないと思います。国産小麦の「あやひかり」や「上州地粉」で中華麺を作るのは水分量など条件を設定するのが難しそうです。
4種類の小麦粉で作った中華麺の色のまとめです(下の写真)。大きめの四角が写真から麺の色を「ImageJ」を使って平均化したものです。実際の麺の色は、写真の色より黄色い感じです。
最後に、小麦粉の灰分が多くなると中華麺の色はグレーが目立つ様になりました。作りたての麺では小麦粉の種類による色の差は多少の違いが見られる程度でしたが、熟成させた2日後では色の違いがはっきりと見られました。
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