赤色105号(ローズベンガル)とタンパク質の吸着で台所洗剤の洗浄力を測定〜自宅でできる簡単な研究(FR-2.5)
食紅の赤色105号(ローズベンガル)を使って、Bradford法のようなタンパク質の定量が可能であることを「食紅を使ったタンパク質の定量法(Bradford法の様に)」で示しました。
今回は、ローズベンガルとタンパク質の吸着を指標として、台所洗剤の洗浄力(界面活性剤の作用)を調べてみました。
実験結果の数値化方法は、「ImageJを用いた呈色反応モデルの画像解析法」、「呈色反応モデル画像の数値化をImageJのマクロで自動化」、「生成AIで作ったPythonプログラムで、数値化した画像の解析を自動化」でほぼ確立しています。
何かの役には立たないし、人から見たらどうでも良いことで自己満足の世界でありますが、個人研究として取り組んでいます。
目次
1. 台所洗剤の洗浄効果の調べ方
1-1 食紅赤色105号(ローズベンガル)の性質
1-2 台所洗剤の洗浄効果を調べる実験イメージ
1-3 使用した台所洗剤
2. メレンゲ水溶液を使った台所洗剤の洗浄効果の結果
2-1 キュキュットクリア洗浄
2-2 キュキュットクリア泡洗浄
2-3 ヤシの実洗剤
3. ゼラチン溶液を使った台所洗剤の洗浄効果
1. 台所洗剤の洗浄効果の調べ方
1-1 食紅赤色105号(ローズベンガル)の性質
ローズベンガルの水溶液は、pH4より高い弱酸性から中性・アルカリ性で赤色に発色します(下の写真左)。クエン酸などの酸性(pH3以下)溶液で、発色がなくなり透明になります(下の写真中央)。ローズベンガルがタンパク質と反応すると酸性に対して退色の抵抗性を示して赤色に発色をしますが、タンパク質と吸着していないローズベンガルは、発色が消失します(下の写真右)。
下の段のイラストは、反応のイメージを表現してたものです。詳細は、「食紅を使ったタンパク質の定量法(Bradford法の様に)」に掲載しております。
1-2 台所洗剤の洗浄効果を調べる実験イメージ
下の写真は、今回の台所洗剤の界面活性による洗浄効果の実験イメージです。
最初にローズベンガルとタンパク質を反応させる(上の写真(A))ことで相互に吸着します。
次に、洗剤を加えることで洗剤の界面活性効果によってローズベンガルとタンパク質が解離します(上の写真(B))。
最後に、酸を加えることでフリーになったローズベンガルの発色が消失し、ローズベンガルとタンパク質が吸着した割合が発色で分かります(上の写真(C)、図は全て解離した状態)。
洗浄効果が強いほどローズベンガルの発色が見られないことになります。
1-3 使用した台所洗剤
今回の実験で使用する洗剤は、「キュキュットクリア除菌」、「キュキュットクリア泡スプレー」、「ヤシの実洗剤」の3種類を使用しました(下の写真)。
2. メレンゲ水溶液を使った台所洗剤の洗浄効果
2-1 キュキュットクリア洗浄
最初に、「キュキュットクリア除菌」の洗浄効果を調べました(下の写真)。
ローズベンガル 20ug/mL とタンパク質としてメレンゲパウダー水溶液 100ug/mLを反応させました。
キュキュットクリア除菌を100倍から2倍希釈系列を作り、それを加えて反応させます。
酸として、5mMのクエン酸溶液を加えフリーになったローズベンガルの発色を消失させました。全て最終濃度です。
写真の左側は、上がメレンゲ水溶液(タンパク質)が有る状態で、下がメレンゲ水溶液が無いコントロールになります。
右のグラフの縦軸は、ローズベンガルの画像の色からR, G, B-チャンネルの吸収光の値を求め、G-チャンネルの値をプロットしたものです(詳細は、「ImageJを用いた呈色反応モデルの画像解析法」、「2種類の食紅水溶液を混ぜた時の色を予測してみました」)。横軸は、洗剤の200倍からの希釈系列です。 四角は、洗剤が ”無し” の値を示します。
結果は、1,600倍位まで洗浄効果がありました。
2-2 キュキュットクリア泡洗浄
次に、「キュキュットクリア泡スプレー」の洗浄効果を調べたのが下の写真になります。「キュキュットクリア除菌」に比べ、洗浄効果が弱い結果となりました。
これは、「キュキュットクリア泡スプレー」の成分は、3種類の界面活性剤の他に「酵素」が含まれています。この酵素の力で洗浄するタイプのようです。今回の実験方法は、界面活性による洗浄効果を調べる実験のため、「キュキュットクリア除菌」より洗浄効果が低い結果を示したと思われます。
ちなみに「キュキュットクリア除菌」は、「キュキュットクリア泡スプレー」に含まれる3種類の他に2種類の界面活性剤が含まれています(花王_キュキュット)。
2-3 ヤシの実洗剤
最後に、天然成分由来の「ヤシの実洗剤」についての洗浄効果の結果を示したのが下の写真です。「キュキュットクリア除菌」と同じ位(1,600倍位)の洗浄効果を示しました。
3. ゼラチン溶液を使った台所洗剤の洗浄効果
タンパク質をメレンゲ溶液からゼラチン溶液(10ug/ml, 最終濃度)に変えて実験したのが下の写真です。
メレンゲ溶液とほぼ同じ結果が得られました。
市販の洗剤は、いろいろな成分が含まれるためコントロールで発色が見られたり、pHが結果に影響する場合があります。今回の実験に使用したキュキュット2種類は、クエン酸が含まれていますが、実験の結果に影響は無いと考えています。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません