2種類の食紅水溶液を混ぜた時の色を予測してみました〜自宅でできる簡単な研究(FR-4.1)

2024-02-05

 食紅の赤色102号、青色1号、黄色4号それぞれで希釈系列の溶液を作り、写真撮影して数値化します。その数値化した値を基に、2種類の食紅水溶液を当量混ぜた時の色を計算から予測する方法を紹介します。また、その結果と実際に混ぜた色を比べてみました。
 食紅溶液の色の画像を"ImageJ"で数値化し解析する方法は、「ImageJを用いた呈色反応モデルの画像解析法」で紹介しております。

考え方と目次

考え方
何かの役には立たないし、人から見たらどうでも良いことで自己満足の世界でありますが、「デンプンやタンパク質を測定する実験の構想」で述べた構想をもとに個人研究として取り組んでいます。

目次
 1. 光の三原色と加法混色
  1-1 光の三原色の階調作成
  2-2 加法混色
 2. 色材の三原色と減法混色
  2-1 色材の三原色の階調作成
  2-2 減法混色の計算方法
 3. R, G, Bチャンネルの数値から色を表す方法
 4. 50%階調の三原色の混色計算
 5. 実際の食紅溶液データーを使った混色計算


1. 光の三原色と加法混色
1-1 光の三原色の階調作成
 光の三原色は、カラーテレビやコンピュータのカラーディスプレイなどの色の表現に使われます。この光の三原色の階調をImageJで作成する方法は、
 (A) 白だけの画像のファイルを作ります。
 (B) グレースケールの画像のファイルを作ります。
 (C) ImageJで(A)と(B)のファイルを開きます。
 (D) それぞれのファイルを開いた所です。
 (E) Image >> Color >> Merge Channels を選択します。

 (F) C1: 白サンプル, C2: グレーサンプル, C3: グレーサンプルを選択しOKを押すと、
 (G) 赤色の階調が出来ます。
 (H) から(J) は、赤色、緑色、青色の諧調とR ,G ,Bチャンネルの数値をグラフにしました。

 グラフから、赤色であれば"G"と"B"チャンネルの値を増やしていけば(吸収光を増やす)明るくなり赤色が薄くなることがわかります。

1-2 加法混色
 光の三原色を混ぜ合わせて色を作ることを「加法混色」と言うそうです(光と色の話)。色を混ぜ合わせるにつれて明るくなり三原色を合わせると白になります(下の写真(B))。赤いフィルターや溶液は、赤のみが透過して赤色の画像としてカメラで撮影されます(下の写真(A))。(C)は、白丸が透過を黒丸が吸収を示しています。

2. 色材の三原色と減法混色
2-1 色材の三原色の階調作成
 食紅などの色材を混ぜ合わせると色が暗くなります。この様な混色を「減法混色」というそうです(光と色の話)。色材の三原色はシアン(Cyan), マゼンダ(Magenta), イエロー (Yellow)になります。この3つの色を加えていくと黒になります(下の写真(B))。
 シアン色のフルターや溶液は、赤を吸収して緑と青を透過することでシアン色が見えます。または、赤を吸収して緑と青を反射してシアン色として見えます(下の写真(A))。(C)は、白丸が透過を黒丸が吸収を示しています。

ImageJでこの三原色の階調を作成する方法は、
 (F) C1: グレーサンプル, C2: 白サンプル, C3: 白サンプルを選択しOKを押すと、
 (G) 赤色の階調が出来ます。
 (H) から(J) は、赤色、緑色、青色の諧調とR ,G ,Bチャンネルの数値をグラフにしました。

 グラフから、シアン色であれば"R"チャンネルの値を増やしていけば(吸収光を減らす)明るくなりシアン色が薄くなることがわかります。

2-2 減法混色の計算方法
 色材の三原色を例に混色の計算方法を示します。

計算方法

 (1) 透過光の値(R, G, B-チャンネル)を255から引き算して吸収光の値を得ます。
 (2) 混色する吸収光の値を足し算します。
 (3) 255(白色光)から(2)の値を引き算します。マイナスの値は、"0″とします(吸収極大)。

 色材の三原色をR, G, Bチャンネルの256階調の数値を下の写真の(A)に示します。(B)は、吸収光の値を示しました。シアンとイエローを混色した場合、吸収光はRチャンネとGチャンネルが最大の255値を示します(下の写真(B)の’C+Y’の行)。白色光であるR, G, Bチャンネルそれぞれ255の値から吸収光の値を引くと下の写真(C)の’C+Y’の行に示す値となり、緑色になります。三原色全てを混色すると’C+M+Y’で示した値となり、黒色になります。
 実際の食紅溶液の混色では、食紅の写真をImageJなどを使いR, G, Bチャンネルの階調の値を取得します。この時、「ImageJを用いた呈色反応モデルの画像解析法」で紹介した方法は、画像の反転の操作があるので吸収光の値で、反転の操作をしなければ透過光の値を示します。詳細は、「5. 実際の食紅溶液データーを使った混色計算」で述べます。

3. R, G, Bチャンネルの数値から色を表す方法
 R, G, Bチャンネルの数値から色を表す方法をパワーポイントを使って示します(下の写真)。
 (A) パワーボインとで、挿入 >> 図形 >> 楕円形を選択します。
 (B) 図形を右クリックし、一番下の 'その他の塗りつぶしの色…’ を選択します。
 (C), (D) 矢印で示した枠の「赤、緑、青」に数値を入れます。
 (E) 数値の色が示されます。

 数をこなすには、pythonを使った方が効率的です(最後の2枚の写真(B)は、pythonを使いました)。

4. 50%階調の三原色の混色計算
 50%階調値の三原色の溶液(下の写真(A)の「Cyan 50〜Yellow 50」の値、(B)の色)があると仮定します。この溶液を1:1の等量混合した場合、それぞれ倍に薄まります。よって、それぞれの数値は半分ずつになりますので下の写真(A)の「Cyan 25〜Yellow 25」の値を使います。計算結果は、下の写真(A)の「C_25+M_25〜M_25+Y_25」の値となり、(F)の上段の色になります。
 計算結果の色は、下の写真の(C), (D), (E)となりました。これは、試験管を横から見た色です。
 上から見ると、混ぜる前より光路長が倍になるので下の写真(A)の「Cyan 50〜Yellow 50」の値の値を使います。結果は、「C_50+M_50〜M_50+Y_50」の値となり、(F)の下段の色になります。

5. 実際の食紅溶液データーを使った混色計算
 下の写真(100uL/well)の食紅の希釈系列を1:1で混ぜ合わせました。

 下の写真(A)は、食紅の希釈系列10倍から640倍を1:1の等量混合した200uL/wellの結果です(試験管を上から見た状態)。(B)は、(A)の結果をImageJで数値化した色を「実測」として表しました。食紅の希釈系列の値から計算した色を「計算値」として表しました。

 100uL/wellにした時(試験管を横から見た状態)の結果は、下の写真の様になります。白は、食紅(赤色102号、青色1号、黄色4号)の1,280倍希釈のデーターが無いのでブランクです。

「実測」と「計算」の色がほぼ一致している結果となりました。